製品に関するFAQ

非破壊検査及び6G用THzデバイス編

A1

フォトミキサはTHz波を出力します。標準規格の導波管を出力ポートとして用いるているので、Wタイプフォトミキサは導波管インターフェースを有する各種部品と低損失かつ容易に接続できます。一方、THz波の周波数が高くなると出力導波管の内寸法が小さくなり製造が難しくなります。現在のところ400GHzを超える周波数帯のWタイプフォトミキサ製品は実現できていません。
このような高周波数領域で動作するフォトミキサとして製品化しているものが、準光学型PKG構造であるAタイプのフォトミキサです。モジュール前面の設置されたSiレンズを通して空間ビームとしてTHz波を出力するモジュールです。Siレンズ及び実装設計を最適化することで、球面収差の小さいTHzビームを出力することで、一枚の球面レンズを用いて簡単にコリメートされたTHzビームを作ることが出来ます。

A2

Wタイプは矩形導波管を出力ポートとしています。矩形導波管はどのようなTHz波でも伝えられるものではなく、導波管の寸法「a」がTHz波の波長の半分以下では伝搬できません。この限界波長を「遮断波長λc」(遮断周波数fc:fc=c/ λc cは光速)と呼びます。導波管で伝搬できるTHZ波の下限周波数となります。一方、遮断周波数の1.5倍以上の場合では、高次モードの伝搬が発生しやすくなるために、伝搬されるTHz波の状態が不安定になります。このため矩形導波管では、伝搬すべき周波数の範囲は、遮断周波数から遮断周波数の1.5倍以下となります。

導波管内の電界分布の概要図

A3

ミリ波やテラヘルツ帯に対応した接続フランジは60GHz∼90GHz用の米国軍用規格であるUG387フランジが使用されることが多いです。より高周波帯の導波管用のフランジとして、導波管近傍に位置だしピンを追加したUG387/Pも用いられています。弊社では、全てのWタイプフォトミキサにおいてUG387フランジを使用しています。

A4

Q1項で説明したように、導波管の伝搬周波数域は低周波カットオフ(fc)からfcの1.5倍以下迄の範囲となります。弊社のWタイプフォトミキサでも基本的に出力周波数域は、出力導波管ごとに決められています。fcより低い周波数を出力することは物理的に出来ません。一方上限周波数より高い周波数を出力することは可能ですが、伝搬中に高次モードへの変換等が起きやすいため安定性に欠けます。弊社としては、上限周波数以上での動作については保証できませんが、高次モード変換の問題点をご理解した上でお使いいただくことは可能です。

A5

矩形導波管内を伝搬するTHz波の電界は導波管の短辺(管壁)に平行に発生し、短辺に接する部分の電界は「0」に、長辺の中心が(導波管の管軸中心線上)最大電界強度になる正弦波分布となっています。厳密には、導波管内壁に若干の誘導加熱による損失が生じるため電界成分が少し現れますが、水平成分の電界は「0」と考えて良いです。このため、Wタイプフォトミキサでは、出力されるTHz波は、出力導波管開口部の短辺に平行な偏波面を有する直線偏波となります。

導波管内の電界分布の概要図

A6

出力されるTHz波はコリメートビームではありません。使用しているSiレンズは超半球レンズで、出力されるTHz波は28度の広がり角(NA:0.24)を持つビームとなり、ビームの球面収差が最小となります。このため、コリメート光にするためには、球面レンズ一枚をモジュール前面に配置してください。

THz波の出射ビーム形状
「THz波の出射ビーム形状」の概要図

THz波の偏波特性(直線偏波出射)
「THz波の偏波特性(直線偏波出射)」の概要図

A7

チップの実装精度の問題で、超半球レンズの光軸と出力THz波の光軸は完全には一致していません。そのために、フォトミキサをあおり軸2軸を具備した5軸の微動台に搭載することを推奨します。

A8

Aタイプのチップ上に集積されているアンテナは自己補対ボータイアンテナです。このため、チップより出力されるTHz波は直線偏光であり、偏波面の方向は下図の通りです。

THz波の出射ビーム形状
「THz波の出射ビーム形状」の概要図

THz波の偏波特性(直線偏波出射)
「THz波の偏波特性(直線偏波出射)」の概要図

A9

2光波をフォトミキサチップで受光することで、UTCフォトミキサは光ビート信号を高効率にTHz波に変換します。このため、2波長の1550nm帯光源が必要です。2波長の光源の光周波数の差を、発生させたいTHz波の周波数に一致させてください。2光波の光量は等しくし、トータル光出力は、60mW程度あると良いです。フォトミキサにバイアスを印加するための電源もご用意下さい。フォトカレントがモニタ出来るソースメジャーユニットの使用を推奨します。光コネクタの焼損等を避けるために、光コネクタクリーナを準備されると良いです。

A10

UTCフォトミキサでは、i層(走行層)を走行するキャリアを電子のみとし、かつ電子をバリスティックに移動させることで高速応答を実現しています。1550nm以外の波長で励起する場合、i層内を移動する電子がバリスティックな移動が実現できないなどの理由により、1550nm励起に比べてTHz波の出力が低くなる場合があります。このため、1550nm励起を推奨します。

「擬バリスティック輸送」の概要図

A11

受光電流をモニタする目的で、ソースメジャーユニットの利用を推奨します。

A12

フォトミキサのバイアス印加回路はローパス特性を持たせているために、バイアス変調により高速変調されたTHz波を生成することはできません。

A13

弊社の準光学型FMBダイオードモジュールは、超半球Siレンズを使用しています。下記の図を参考に、入射するTHz波のNAと焦点位置を合わせてください。

「超半球Siレンズ」の概要図

ページの先頭へ